PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

アート・バブルとロウワー・イースト・サイド



今週は、某誌のNY特集の仕事で、ロウワー・イースト・サイドに急増するギャラリーを取材している。
去年の夏、エスクァイアのNY特集でアートページを担当したときは、チャイナタウンとロウワー・イースト・サイドのギャラリーはあわせてせいぜい5軒くらいしかなかったけど、今はたぶん軽く15軒くらいはあって、さらに秋には5軒くらいオープンするらしい。
チェルシーの雄、リーマン・マーピンも、昨年の夏、ロウワー・イースト・サイドに新しいブランチをオープンした。
恐るべし増え方です。
ロウワー・イースト・サイドのきったないストリートに、ギャラリーがある光景はなんかニューヨークらしくていいと思う。
やっぱりニューヨークはこうでなくっちゃ、なんて思っちゃった。

NYのお高い現代アートといえば、これまでメッカはチェルシーの西端(ファー・ウエスト・チェルシーともよばれる)だったのだが、数年前から、チェルシーの家賃の高騰を嫌うギャラリーや、新興ギャラリーが、東のほうに移動してきたのです。
いまだにチェルシーには、300軒以上もギャラリーがあるけれど、「チェルシーで出していれば売れる」という時代はもう終わったようで、よっぽど名前がないかぎり、最近はなかなか苦しいらしい、という話を聞いたことがある。
個人的にも、確かに、チェルシーのギャラリーは、5軒くらい見ると疲れちゃう。
お茶を飲むところも少ないし、敷居が高い感じがするのも、疲れちゃう理由のひとつかも。

で、今日、取材した先のギャラリーのオーナーが、小声で
「知ってる?ニューヨークのアートバブルはもう弾けたんだよ」
と教えてくれた。
いつ?と聞くと、去年の12月、大きな値崩れがあったらしい。
でもみんな小声でささやきあってるだけらしい。
だって、公にしゃべると、状況がさらに悪化しちゃうから。

彼によると、たとえば、大御所メアリー・ブーン・ギャラリーのメアリー・ブーンさんが、どこかの新聞に、売り上げが50%下がった、と言ったらしい(新聞記事、探してみたが見当たらず)。
When she says 50%, it really must be 80%
彼女が50%っていうときは、ほんとはきっと80%だよ、と笑うこのオーナー。

みんな、いつか弾けるって思ってなかったのかなあ?と聞いてみると、
Everybody saw it coming, but they all milked it and milked it until the cow didn't have milk anymore.
みんなくるって思っていたけど、それでも、牛のミルクがなくなるまで、ミルクをやり続けたのさ。
このへんの仕組みは、株も不動産もみんな一緒である。
みんな、自分はババをひかないと思って、やり続けちゃうわけです。

ちなみにチェルシーの家賃が払えないギャラリーがやってきたことで発展したロウワー・イースト・サイドの地価も、今ではほとんど変わらないらしい。
ニューミュージアムがオープンして、ギャラリーの数も増えた。
チャイナタウンの家主たちだって、やった、って思うだろう。
どんどん周期は短くなっているが、ニューヨークのアートシーンは、家賃が高くなる→安いエリアを見つけて移動する→急に発展する→家賃が高騰する、の繰り返し。
これ以上、どこに移動するのだろう、と思うけれど、きっと、また別のエリアに動くんでしょう。

ちなみにくだんのオーナー氏は、うちは安い家賃で長期リースを結んだから大丈夫、と余裕顔。
でもね、かわいそうなのはアーティストだよ、って教えてくれた。
チェルシーのバブルのおかげで、いいものも悪いものも値段が上がった。
でも一度、1000万以上の値段がついちゃうと、そのあとどれだけ景気が悪くなっても、安い値段をつけることが受け入れられない。そうやってダメになったアーティストたちを山ほど見て来た。
だから、値段は自分のプライドと生活が満足する程度で、安めに設定しろっていつも僕は言ってるの。

アートの世界も大変ねえ。
そういえば、もうすぐ日本で公開される「ビューティフル・ルーザーズ」のアーロン・ローズ監督にインタビューしたときに、彼が、映画に登場するアーティストたちについて、
「大切なのは、彼らが、売れようと売れまいと、淡々と創作を続けていく奴らだってこと」
と言っていたのを思い出した。
お金はだいたいにおいてコトをフクザツにするけれど、そんな気持ちでやらないと、きっと惑わされちゃうってことかもしれません。


スポンサーサイト

| アート | 12:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://peoplewatching.blog94.fc2.com/tb.php/163-b3d5626d

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。